村井保夫 Y. Murai
日本医科大学 脳神経外科 Neurological Surgery, Nippon Meical School
もやもや病 脳動脈瘤 髄膜腫 三叉神経痛 顔面痙攣 内頸動脈狭窄症
臨床データ 治療成績
<最近の手術成績>
<最近連続500手術症例の手術予後 (2024年4月21日現在)>
0, 367; 1, 1; 2, 3; 3a, 4; 3b, 9; 4a, 15; 4b, 1; 5, 0.
<最近連続300 脳動脈瘤手術症例の手術予後 (2024年6月1日現在)>
0, 285; 1, 0; 2, 1; 3a, 2; 3b, 6; 4a, 5; 4b, 1; 5, 0.
2011年以降、12.5mm以下の未破裂脳動脈瘤でmRS>3 はありません。
未破裂脳動脈瘤の永続障害率は1%未満
<最近連続150バイパス/内膜剥離術症例の手術予後 (2023年10月30日現在)>
0, 113; 1, 0; 2, 1; 3a, 0; 3b, 2; 4a, 3; 4b, 1; 5, 0.
永続障害率は3%未満
『未破裂脳動脈瘤治療法の選択』について
https://www.youtube.com/watch?v=uNv7eBLDsQU
脳動脈瘤脳動脈瘤とは、脳血管の壁の一部が風船のように膨れてできる壁が薄い部分のことで、破裂するとくも膜下出血の原因となるものです。 くも膜下出血の予後は脳血管内治療が増えたり、いろいろな薬が増えても2024年現在、30年前とほとんど予後が改善しておらず、半分から3分の1の人が重症になる病気です。このため、未破裂の内に発見された脳動脈瘤の中でよく選別して必要なものに、破裂予防の治療をしようとするのが、未破裂脳動脈瘤の治療です。破裂を明確に予防できる薬はなく、禁煙や高血圧の管理が必要なのはわかっていますが、根本的な対策にはなりません。
脳動脈瘤の治療には、大きく分けて開頭クリッピング術とコイル塞栓術という2つの方法があり、それぞれに長所短所があります。日本全国の脳卒中専門家が作成した脳卒中ガイドラインには2023年の段階で、記載されていることは、次のようなことのみで、それ以外のことについてはほぼ、個人の意見でしかありません。
1) 破裂を明確に予防できる薬はなく、禁煙や高血圧管理を推奨
2) 治療方法選択は、開頭手術、血管内治療の両方の経験豊富なチームが必要
3) 血管内治療では、開頭手術に比較し治療後の不完全閉塞や再発の頻度が高い
これらの情報からわかるのは、開頭クリッピング術は根治性が高く、再発が少ない治療であることです。
合併症のリスク、頻度、すなわち治療の安全性に関しては、治療法別に明確な違いはないと考えた方が良いでしょう。開頭手術、血管内治療ともに、それぞれでのみ発生する合併症があるからです。また、どちらかの治療法が明らかに向いている動脈瘤があります。開頭手術では治療しやすいが、血管内治療では難しい動脈瘤も、その逆の動脈瘤もあります。
表は、一般的に医療の評価に用いられる分類です。
当科では、本表を用いて合併症を検討するカンファレンスを行っております。